この記事でわかること
- 介護認定の「有効期限」と更新手続きの流れ
- 要介護度が変わることで起こる変化と注意点
- 軽くなった場合の対応方法と不服申立ての考え方
- ケアマネへの相談時に備えておきたい視点
介護認定には「有効期限」がある
介護認定を受けたら、それがずっと続くわけではありません。
要介護度には**「有効期限」**があり、一定期間ごとに「更新申請」が必要です。
更新時に行われること:
- 訪問調査(チェックシート):実際の生活状況を聞き取り・観察
- 主治医意見書:医師が心身状態を記載
📌 詳しくは以下の記事も参考に
👉 [第3回]:訪問調査の内容を知ろう!
👉 [第4回]:医師の意見書で伝えるべきこと
👉 [第5回]:介護認定の結果が出るまで
要介護度が変わると、どうなる?
認定更新によって、要介護度が「軽く」なったり「重く」なったりすることがあります。
介護度が変わると、利用できるサービス量や費用負担にも影響が出ます。
支給限度額とは?介護度によって変わるサービス量
介護保険では、要介護度に応じて使えるサービス量の上限「支給限度額」が決まっています。
要介護度 | 支給限度額(月) | 自己負担額(1割) | 利用できる目安(例) |
要介護1 | 約167,650円 | 約16,765円 | デイサービス週3回+訪問介護週1回 |
要介護3 | 約272,480円 | 約27,248円 | デイサービス週4回+訪問介護週2回+福祉用具など |
要介護5 | 約362,170円 | 約36,217円 | デイサービス週5回+訪問介護週3回+福祉用具多数 |
📌 上記はあくまで目安です。実際のプランは生活状況や本人の希望により異なります。
介護度が軽くなると困るケースも?生活への影響に注意
「介護度が軽くなった=良くなった」とは限りません。
特に高齢期(80〜90代)では、現状維持自体が大きな努力の成果といえます。
よくある生活上の変化
- 利用回数の制限
例:デイサービスが週4回 → 週3回に減り、1回分家族が対応 - 本人の活動機会が減少
例:週3回のデイサービスが週2回になり、外出の機会が減り、家で過ごす時間が増えたことで活動量や会話が減少。筋力や認知機能が低下してしまった - 介護者の負担増
例:安心して外出・仕事ができていた時間がなくなり、在宅対応が必要に
🧠 実際、入院や引きこもりが続くと、認知機能や身体機能の低下につながりやすいことが、研究や現場でも報告されています。
認定が軽くなったとき、どうすればいい?
ケアマネジャーが新しい介護度にあわせてプランを調整してくれますが、
支給限度額を超える場合には、自費サービスの検討も必要になることがあります。
📌「不服申立て(区分変更申請)」も可能です。
ただし、感情的に「納得いかない」と言うのではなく、具体的に何が困るかを整理しましょう。
例:
「週3回のデイサービスが減ると、入浴の機会が減って清潔が保てない」
「家族が仕事を休むしかなくなる」
「本人が孤立してしまう可能性がある」
ケアマネに相談するときの視点
認定結果に納得できないときやプランに不安があるときは、冷静にケアマネに相談しましょう。
以下のような視点で整理すると、相談がスムーズになります。
- 今後どのくらいサービスが必要か?(例:週〇回の通所介護)
- 家族の介護負担はどの程度か?(例:仕事と両立できるか)
- 軽くなった結果、どのような支障が出そうか?(例:転倒リスク、閉じこもり)
まとめ&次に読むべき記事
ポイント | 内容 |
有効期限と更新 | 訪問調査と主治医意見書が必要。期限前に準備を |
サービスへの影響 | 要介護度が変わると、支給限度額やサービス量に影響 |
軽くなる=良いこと? | 実際には生活への支障が出ることもあるので注意 |
不服申立ても視野に | ケアマネと相談しながら、生活の実情を具体的に伝えることが大切 |
考える力と質問力が大切 | 制度に合わせるのではなく、自分の暮らしに合う支援を選ぶ視点を持つ |
📖 次に読むべき記事
▶ [第24回]:認知症の介護保険活用法!適用サービスと家族が知っておくべきこと
介護保険の申請をスムーズに進めるための考え方について、こちらの記事で詳しく解説しています。
🔹 著者情報
📌 この記事を書いた人
- 社会福祉士 / 居宅介護支援専門員
- 居宅介護支援事業所・通所介護事業所を経営
- 介護保険申請の難しさを感じ、ブログを通じて情報発信中
🔗 公式情報
📌 介護保険制度の詳細は、厚生労働省の公式ページをご確認ください。
➡ 厚生労働省 介護保険制度