第29回:ケアマネジャーは何をしてくれる人?

介護保険申請

この記事でわかること

  • ケアマネジャーは、サービスを決めるだけの人ではない
  • 本人の意向と家族の不安を整理する役割がある
  • 介護保険制度や地域の支えを使いながら、介護生活を調整してくれる
  • 相談するときは、うまく話せなくても大丈夫

ケアマネジャーは「ケアプランを作る人」だけではない

ケアマネジャーの役割として、よく知られているのは「ケアプランの作成」です。

ケアプランとは、介護保険サービスをどのように利用するかを考える計画書です。

たとえば、

✅ デイサービスを週に何回利用するか
✅ ヘルパーにどのような支援をお願いするか
✅ 福祉用具を使う必要があるか
✅ 自宅での生活を続けるために何が必要か

このようなことを整理していきます。

ただし、ケアマネジャーの仕事は、単にサービスを表に当てはめることではありません。

本人や家族の話を聞き、生活上の困りごとを整理し、介護保険サービスや地域の支えにつなげていくことも大切な役割です。

つまり、ケアマネジャーは、

本人や家族の思いを聞きながら、介護生活を続けやすくするために調整してくれる人

と考えると、少しイメージしやすくなります。

介護が始まると、本人と家族の気持ちは揺れやすい

介護が必要になったとき、本人と家族の気持ちは同じとは限りません。

本人は、

「できるだけ家で暮らしたい」
「まだ自分でできる」
「人に迷惑をかけたくない」
「知らない人に家へ来てほしくない」

と思っているかもしれません。

一方で、家族は、

「転ばないか心配」
「薬を飲み忘れていないか不安」
「火の始末は大丈夫だろうか」
「このまま一人で暮らせるのだろうか」

と感じているかもしれません。

ここで大切なのは、本人の意向と家族の不安は、どちらか一方が正しいというものではないということです。

本人の「こう暮らしたい」という思いも大切です。
家族の「このままで大丈夫だろうか」という心配も大切です。

介護生活では、この両方を見ながら考えていく必要があります。

図で見る、本人の意向と家族の不安の揺らぎ

図:介護が始まったばかりの時期は、本人の意向と家族の不安が大きく揺れやすくなります。ケアマネジャーは、その揺れを整理しながら、制度や地域の支えにつなげていきます。

この図は、介護が始まったときの本人と家族の気持ちをイメージしやすくするためのものです。

最初は、本人の「家で暮らしたい」「できることは続けたい」という期待と、家族の「本当に大丈夫だろうか」「転倒しないだろうか」という不安が、大きく揺れている状態です。

この揺れは、決して悪いものではありません。

本人の期待も、家族の不安も、どちらも介護生活を考えるうえで大切な情報です。

ケアマネジャーは、その揺れをすぐに消すのではなく、本人や家族の話を聞きながら、何に困っているのか、何を大切にしたいのか、どこに危険があるのかを整理していきます。

そして、介護保険制度や地域の支えを使いながら、介護生活を続けやすい形に調整していきます。

ケアマネジャーは、意向と不安を整理する

ケアマネジャーは、本人の意向だけを見るわけではありません。
また、家族の不安だけを優先するわけでもありません。

本人の思い、家族の心配、生活上のリスク、医療の状況、利用できる介護保険サービス、地域の支えなどを整理しながら、現実的な支援の形を考えていきます。

たとえば、本人が「家で暮らしたい」と言っている場合でも、家族は「転倒が心配」と感じているかもしれません。

そのときに、すぐに、

「では施設を考えましょう」
「ではデイサービスを使いましょう」

と決めるだけではありません。

まずは、

✅ どのような場面で転倒しやすいのか
✅ 自宅の環境に危険なところはないか
✅ 福祉用具で支えられる部分はあるか
✅ 通所サービスで生活リズムを整えられるか
✅ 家族だけで抱え込んでいないか
✅ 近所や地域の見守りは使えそうか

といったことを整理していきます。

つまり、ケアマネジャーは、本人と家族の間に立って「どちらが正しいか」を決める人ではありません。

本人の意向と家族の不安を整理し、制度や地域資源を使いながら、介護生活を続けやすい形に調整していく人です。

介護保険サービスだけで支えるわけではない

介護生活を支えるものは、介護保険サービスだけではありません。

もちろん、デイサービス、訪問介護、福祉用具、訪問看護など、介護保険サービスは大切です。

しかし、実際の生活では、それ以外の支えも必要になることがあります。

たとえば、

✅ 家族の見守り
✅ 近所の人とのつながり
✅ 民生委員や地域包括支援センター
✅ 配食サービス
✅ 自治体の高齢者支援
✅ 医療機関との連携
✅ 友人や地域の集まり
✅ 民間サービス

このような支えも、介護生活を続けるうえで重要になることがあります。

これらは、介護保険サービスとは別の支えです。
一般的には「インフォーマルな資源」と呼ばれることもあります。

少し難しい言葉ですが、簡単に言えば、制度だけではなく、家族・地域・民間サービスなども含めた生活上の支えのことです。

ケアマネジャーは、介護保険制度だけでなく、このような支えも含めて考えながら、本人と家族の生活を調整していきます。

ケアマネジャーに相談するときは、整理して話せなくてもよい

ケアマネジャーに相談するとき、最初から上手に説明する必要はありません。

むしろ、介護が始まったばかりの時期は、

「何に困っているのかわからない」
「本人は大丈夫と言うが、家族は心配」
「サービスを使った方がよいのか判断できない」
「どこまで家族が頑張ればよいのかわからない」

という状態の方が自然です。

そのようなときは、まず感じていることをそのまま話してみることが大切です。

たとえば、

✅ 最近、転びそうで心配
✅ 薬を飲めているか不安
✅ 一人暮らしを続けられるか心配
✅ 本人はサービス利用に消極的
✅ 家族の負担が増えてきた
✅ 何を相談すればよいかわからない

このような話でも、ケアマネジャーにとっては大切な情報になります。

ケアマネジャーは、それらの話をもとに、生活のどこに課題があるのか、どの支援が使えそうか、どの順番で考えればよいかを整理していきます。

ケアマネジャーは「全部を解決してくれる人」ではない

ここで注意したいのは、ケアマネジャーはすべての問題を解決してくれる人ではないということです。

介護生活には、すぐに答えが出ないこともあります。

本人の希望と家族の不安が完全に一致しないこともあります。
介護保険サービスだけでは支えきれないこともあります。
家族の協力や地域の支えが必要になることもあります。

そのため、ケアマネジャーは「何でも代わりに決めてくれる人」ではありません。

むしろ、

✅ 本人の意向を確認する
✅ 家族の不安を整理する
✅ 生活上の課題を見える形にする
✅ 介護保険サービスにつなげる
✅ 地域や医療との連携を考える
✅ 状況に応じてケアプランを見直す

このような役割を通じて、介護生活を支えていきます。

まとめ:ケアマネジャーは介護生活の調整役

ケアマネジャーは、介護保険サービスを決めるだけの人ではありません。

本人の「こう暮らしたい」という意向。
家族の「このままで大丈夫だろうか」という不安。
生活の中にある危険や困りごと。
介護保険制度で使えるサービス。
地域や家族、医療・福祉の支え。

これらを整理しながら、介護生活を続けやすい形に調整していく人です。

介護が始まったばかりの時期は、本人も家族も気持ちが揺れやすいものです。

その揺れを無理に消すのではなく、見える形にして、必要な支援につなげていく。

そこに、ケアマネジャーの大切な役割があります。

この記事の要点

✅ ケアマネジャーは、サービスを決めるだけの人ではない
✅ 本人の意向と家族の不安を整理する役割がある
✅ 介護保険サービスだけでなく、地域や家族の支えも含めて考える
✅ 相談するときは、うまく話せなくてもよい
✅ ケアマネジャーは、介護生活を続けやすくするための調整役

介護保険の申請をスムーズに進めるための考え方について、こちらの記事で詳しく解説しています。

🔹 著者情報

📌 この記事を書いた人

  • 社会福祉士 / 居宅介護支援専門員
  • 居宅介護支援事業所・通所介護事業所を経営
  • 介護保険申請の難しさを感じ、ブログを通じて情報発信中

🔗 公式情報
📌 介護保険制度の詳細は、厚生労働省の公式ページをご確認ください。
➡ 厚生労働省 介護保険制度

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