この記事でわかること
- 初期症状から考える、認知症の気づき方
- 認知症で介護保険を使うために必要な申請と手順
- 認知症対応型サービスと一般的な施設との違い
- 家族の不安が和らぐ介護保険の活用の考え方
「もしかして認知症かも…」と思ったら
家族が「最近ちょっと変わったな」と感じたとき、それが加齢によるものなのか、認知症のはじまりなのか迷う方は多いのではないでしょうか。以下のような変化は、初期認知症でよく見られるサインです。
🔍 初期症状の具体例
- 同じ話を何度も繰り返す
- 財布や鍵などを何度も探す
- 曜日や時間の感覚がずれる
- 今まで使えていた家電を使えなくなる
- 外出をためらうようになる
- 身だしなみを気にしなくなる
こうした変化に気づいたときは、かかりつけ医や地域包括支援センターに早めに相談しておくと安心です。
📌 なぜ安心につながるのか?
→ 医師には「医師の意見書」作成の際の予備知識として、地域包括支援センターには「地域の福祉資源の紹介」や「訪問調査時の説明サポート」など、今後の手続きがスムーズになる可能性があるからです。
認知症と診断されたら使える介護保険サービス
介護保険は認知症でなくても利用できます。
たとえば、足腰が弱くなったり、転倒が増えてきたりといった身体機能の低下でも申請が可能です。
ただし、認知症の症状が見られた時点で、早めに申請することをおすすめします。
📌 なぜ?
→ 認知症は「進行を遅らせる」「生活の質(QOL)を保つ」ことができるため、早めの支援やサービスの利用が本人と家族の安心につながるからです。
特に、以下のようなサービスは有効です:
サービス名 | 内容 | 効果 |
デイサービス | 通所介護施設での日中活動 | 社会参加、閉じこもり予防 |
認知症対応型デイサービス | 小規模な認知症専門施設 | 個別対応、安心感 |
訪問介護(ヘルパー) | 食事や排泄などの日常支援 | 不安の軽減、自立支援 |
福祉用具のレンタル | 歩行器やベッドなどの補助 | 安全な生活環境の確保 |
「認知症だから迷惑では?」と感じる家族へ
民間の宿泊施設では認知症の受け入れが難しいこともありますが、介護保険施設では原則として受け入れが可能です。
ただし、認知症の症状によっては施設ごとに対応が分かれることがあります。
特に、暴力行動など他者に影響があるケースでは、より専門性の高い「認知症対応型施設」の利用が検討されます。
認知症対応型とその他の介護施設の違い
比較項目 | 認知症対応型施設 | その他の介護施設 |
認知症の受け入れ | 必ず受け入れる | 受け入れを断られる場合あり |
対応の専門性 | 高い(認知症ケア専門) | 一般的な介護が中心 |
環境・設備 | 小規模、見守りしやすい構造 | 小規模〜大規模、環境に差がある |
保険サービス費用 | 割高になる | 比較的抑えめ |
保険外費用 | 提供内容によって差が出る場合あり | 同上 |
📌 利用できる施設は地域の実情によって異なります。詳しくはケアマネジャー、市町村福祉課、地域包括支援センターに相談しましょう。
介護保険サービスにつなげるために、早めの相談を
認知症への対応は、早めに相談・申請して適切なサービスにつなげることが鍵です。
相談先は次のようなところが考えられます:
- 地域包括支援センター(要支援レベルの相談含む)
- 市区町村の介護保険窓口
- かかりつけ医(意見書作成含む)
📌 相談前にメモしておきたいポイント
- どんな困りごとがあるか?
- 家族がどこまで支援できているか?
- 今後の生活で何が不安か?
まとめ(不安を感じたときこそ、第一歩を)&次の記事
認知症という言葉に不安を感じていても、介護保険サービスの利用によって日々の暮らしを支えることができます。
「これは介護保険で支援できるのかな?」と思ったときは、遠慮なく相談してみましょう。
📖 次に読むべき記事
👉 第25回:仕事をやめずに介護はできる?家族介護と両立する方法
介護保険の申請をスムーズに進めるための考え方について、こちらの記事で詳しく解説しています。
🔹 著者情報
📌 この記事を書いた人
- 社会福祉士 / 居宅介護支援専門員
- 居宅介護支援事業所・通所介護事業所を経営
- 介護保険申請の難しさを感じ、ブログを通じて情報発信中
🔗 公式情報
📌 介護保険制度の詳細は、厚生労働省の公式ページをご確認ください。
➡ 厚生労働省 介護保険制度